先日、Appleから発表された電子書籍制作ソフト「iBooks Author」はもう試されましたか?
「iBooks Author」を使えば、iPad用のインタラクティブな電子書籍をものすごく簡単に作ることができます。
Apple純正ソフトなので、KeynoteやPagesなどに慣れている人であれば操作方法もすぐに理解できると思います。
Macユーザーであれば、無料でApp Storeからダウンロードできるので、是非ためしてみてください。
今回は、Appleが電子書籍の市場をどう変えていくのか?日本市場はどうなるのか?を少し考えてみたいと思います。
筆者の電子書籍の利用状況
筆者は、iPadもKindleも持っているのですが、実は、あまり電子書籍は読みません。 紙の本と比べて、電子書籍で販売されている書籍が少なすぎます!
自炊道具も揃えたのですが、100冊ほど自炊してからはやらなくなりました。 やはり、面倒なんですよね。
スキャン代行サービスもありますが、結果的にテキストベースではないので、電子書籍リーダーの解像度的にPDFが読みにい場合があります。
やはり、最終的には本を出版する段階で電子データ化されたものを買うのがベストです。
そういう意味で、筆者は「iBooks Author」が、電子書籍の未来を切り開くツールになるのではないかと感じています。
「iBooks Author」で何が変わる?
「iBooks Author」で作った電子書籍は、専用のiBooks形式で保存して、そのままiTunes Storeに公開することができます。
インタラクティブな電子書籍が作れるように、動画や3Dオブジェクト、Keynoteのプレゼンテーションなどの取り込みが可能になっています。 さらに、HTMLとJavaScriptを使ってカスタムウィジェットが作れるので、動きのある書籍に仕上げることも可能です。
機能面でも素晴らしいのですが、実は注目すべき点は別にあります。
今回のAppleのスゴイところは、
電子書籍のオーサリングから販売までの流れをシームレスにつなげた
ところです。
今までも、電子書籍のツールや販売プラットフォームはありましたが、ツールの良し悪しや販売プラットフォームを選ぶところで敷居が高かったと言えます。
結果的に、電子書籍の品揃えが悪い販売プラットフォームがたくさんできてしまい、読者もどこで買うのが一番良いのか分からない状態です。
今回の「iBooks Author」の登場により、制作した電子書籍の販売ルートがiTunes Storeに決まってきます。
著者も出版社を通さずにiTunes Storeで簡単に販売できるようになるため、今まで以上に敷居が低くなって書籍も集まってくるでしょう。
しかし、この流れは出版社にとっては大きな痛手であるのは間違いありません。 今まであれば自社の販売プラットフォームで電子書籍を販売することで、販売手数料をとることができていたのですが、これが無くなってしまうからです。
読者から見れば、販売プラットフォームが統一されることで、全ての書籍が電子書籍として入手できることはうれしいことです。 「iBooks Author」が、この火付け役になってくれることを望んでいます。
日本市場での問題
ここまでくると、電子書籍にも明るい未来が見えてきたように思えますが、実はまだそこには日本独自の問題があるのです。
日本のiTunes StoreではiBooksの電子書籍を取り扱っていない!
残念ながら「iBooks Author」で電子書籍を作っても日本では、公開できないのです。
Apple側の問題で準備できないのか、権利関係がクリアできないのか、はっきりしたことは分かりませんが、いまだに日本のiBooks Storeで電子書籍の販売ができない状態が続いています。
権利関係の問題でいくと、日本でiCloudの音楽共有ができない問題というのがあったので、こういった圧力的なものも関係しているかもしれません。
いずれにしても、このままでは電子書籍の分野で日本だけが取り残された状態になりそうです。
それでは、別の販売プラットフォームで、「iBooks Author」制作された電子書籍が販売できるか?というと、これはNGです。
Appleの発表では、下記のようになっています。
「iBooks Author」で制作された有料の電子書籍はiBooks Storeからしか販売できない
ただし、無料の電子書籍であれば、自由に配布可能です。(詳しくはこちらの記事で紹介されています)
「iBooks Author」で作った電子書籍を日本で公開する方法
せっかくのオーサリングツールも公開する場所がなくては、宝の持ち腐れです。
「iBooks Author」で出力されるファイル形式は、ibooks形式です。
ibooks形式は、EPUB3をベースに独自タグを追加したファイルで、iPadの「iBooks 2」で開くことができます。
自分で作ったibooksファイルをiTunes経由でiPadに転送すれば、開くことはできます。
自分だけで楽しむ分には、これで十分なのですが、せっかく作った電子書籍なので、ひとりでも多くの人に読んで欲しいですよねw
そこでご紹介したいのが、電子書籍投稿ポータルサイト「iPadZine」です。
iPadZineは、PDFやEPUB形式のファイルを誰でも投稿できるポータルサイトなのですが、今回の「iBooks Author」の発表後に、ibooks形式のファイルでも投稿できるようになりました。
1,400以上の電子書籍が全て無料で公開されているので、多くのiPadユーザーに利用されています。
一番人気の電子書籍「【無料】マインドマップ超活用術」は、10,000人以上のユーザーに読まれています。
「iBooks Author」制作された電子書籍でも、無料のものであれば公開場所はどこでも良いので、
日本市場でまず試してみるのであればiPadZineで公開する
がベストです。
それでは、実際にiPadZineでibooksファイルを公開する手順を紹介したいと思います。
「iBooks Author」で電子書籍を作成し、ファイルメニューの書き出しを選びます。
iBooks形式を選び、「次へ」をクリックします。
ファイル名を指定して「書きだす」ボタンをクリックします。
「iPadZine」にアクセスし、「Sign in with Twitter」ボタンを クリックします。
Twitterのユーザー名とパスワードを入力して、Twitterアカウントでの認証を行います。
ログイン後に、左メニューから「iBooks形式の投稿」を選びます。
投稿する電子書籍の情報を入力します。 投稿ファイルの欄に「iBooks Author」で作ったibooksファイルを指定します。 「投稿」ボタンをクリックすると、ファイルがアップロードされます。
投稿した電子書籍の一覧が表示されます。
タイトルをクリックすると、電子書籍のダウンロードページが開きます。 iPadでアクセスし、「直接ファイルを開く(iBooksで開く)」ボタンを押します。
「iBooksで開く」を選びます。(最新のiBooksアプリをインストールしておく必要があります)
iBooksアプリが起動されて、書籍が開きます。
このように、Twitterアカウントさえあれば誰でもibooks形式のファイルを公開することができます。
アップロードできるファイルは最大20Mbyteまでと制限はありますが、ibooksファイルをDropboxのpublicフォルダにアップしておいてiPadZineの「リンクの投稿」からリンク先URLを指定して書籍フォーマットを「iBooks」にすることで、容量制限の問題も回避できます。
まとめ
「iBooks Author」は電子書籍のオーサリングツールとして、パワフルな機能もたくさん備えています。
しかし、日本のiTunes StoreではiBooksの電子書籍を取り扱っていません。
日本で公開するには、無料の電子書籍として「iPadZine」経由で配布することが可能です。
まずは、「iBooks Author」でどんな表現ができるのか?を試しながら、Appleが日本市場で展開するまで準備をしておきましょう。
ちなみに、今回ご紹介した「iPadZine」は、筆者が運営しているウェブサービスの1つですので、もしご要望等がありましたら、コンタクトをとってもらえるとうれしいです。
既に、HTMLウィジェットをいろいろと試されていて、下記の記事でまとめられています。 iBooks AuthorのHTMLウィジェットの作り方 もちろん公開は、iPadZineをご利用いただいていますw
「iBooks Author」を使うと、どれほどパワフルな電子書籍が作れるのか知るには、実際に配信されている「Life on Earth」を読むと良いですよ。無料でダウンロードできるので、是非体験してみてください。
電子書籍がもっともっと普及するといいですね。
それでは、また!